退職金がない会社で老後資金は大丈夫?損しない資産形成と転職対策
退職金がない会社に身を置く会社員たちの間で、静かな焦燥感が広がっている。長年勤め上げれば老後は安泰という終身雇用の神話が崩壊して久しいが、実際のところ、退職給付のない職場で働く人々は想像以上に多い。毎月の給与から税金や社会保険料が引き落とされ、日々の生活を営むだけで精一杯という現状において、将来のまとまった一時金が存在しない現実は重くのしかかる。
かつての高度経済成長期とは異なり、現代の雇用環境は著しく変化した。ベンチャー企業やIT業界を中心に、あらかじめ退職金分を毎月の給与に反映させる年俸制を採用する企業が増える一方で、単にコスト削減目的で制度を設けていない企業も少なくない。そうした退職金がない会社でキャリアを重ねる場合、自分自身で確実な出口戦略を描いておかなければ、定年後に深刻な資金難に陥る危険性がある。
「退職金がない会社」割合はどれくらい?最新独自調査の実態

実際のところ、日本国内で退職金が出ない企業の割合はどれほどなのだろうか。厚生労働省が実施した調査や直近の独自調査データを突き合わせると、驚くべき実態が見えてくる。大企業では9割以上が何らかの退職給付制度を備えているのに対し、従業員30〜99人規模の中小企業では約4社に1社、さらに小規模な事業者になると約4割もの企業が制度を設けていない。
企業年金連合会が公表しているデータや人事院の官民比較調査でも、退職金の支給額自体が過去20年で減少傾向にあることが指摘されている。退職金の有無は単なる福利厚生の差にとどまらず、定年時の個人資産に1000万円から2000万円以上の開きを生み出す主要因となっているのが現実だ。
なぜ退職金を支給しない企業が増加しているのか?

法律上の観点から整理すると、労働基準法において退職金の支払いは一切義務付けられていない。給料や残業代の支払いとは異なり、退職金はあくまで企業が任意で定める制度に過ぎないのだ。就業規則に規定がなければ、企業が労働者に対して1円も支払わなくても法的責任を問われることはない。
日本労働組合総連合会(連合)の意識調査を見ても、基本給の引き上げや流動的な人材確保を優先するあまり、長期的な退職給付債務を抱えることを忌避する経営者が増えていることがわかる。本来、資金力に乏しい事業者向けには国の後押しによる中小企業退職金共済(中退共)といった外部共済制度が存在する。しかし、掛け金の負担や手続きの手間を嫌い、導入を見送る企業が後を絶たない。
退職金ゼロがもたらす「老後資金」の格差と具体的リスク

退職金が存在しない職場で働き続けることの最大のリスクは、定年退職を迎えた瞬間に突きつけられる経済的空白だ。かつて話題となった「老後資金2000万円問題」は、公的年金に加えて退職金があることを前提に議論されていた側面がある。退職金ゼロの場合、必要とされる老後資金の積み増しハードルは一気に跳ね上がる。
職場の退職金制度の有無を確認せずに30代・40代を過ごしてしまうと、いざ定年が見えてきた時期に取り返しのつかない焦りを生む。月々の給与が高めに設定されているように見えても、退職金の積立分が内包されているに過ぎないケースも多い。自身の生涯設計と照らし合わせ、今の職場にとどまるリスクを冷徹に試算しなければならない。
退職金なしでも安心!自分で作る資産形成術【新NISA・iDeCo】
会社が退職金を出してくれないのであれば、国の税制優遇制度をフル活用して自前で「プライベート退職金」を作り上げるのが最も賢明なアプローチだ。その両輪となるのが、新NISAとiDeCo(個人型確定拠出年金)である。
iDeCoは拠出する掛金の全額が所得控除の対象となり、毎年の住民税や所得税を直接軽減できる強力な節税ツールだ。一方、新NISAは運用益が永久非課税となり、途中の資金引き出しも自由に行える柔軟性を誇る。退職金がない会社に勤める労働者こそ、この2つの制度を掛け合わせることで、退職金のある会社員と同等、あるいはそれ以上の老後資金を効率的に構築することが可能になる。
損しない転職対策:退職金の有無と生涯年収を見極める技法
自力での資産形成と並行して検討したいのが、労働環境そのものを変える転職という選択肢だ。ただし、「提示年収」の数字だけに目を奪われて転職を決めるのは危険極まりない。年収600万円で退職金なしの求人と、年収550万円で手厚い退職金制度がある求人とでは、20年勤続した際のトータル生涯年収で逆転現象が起きるからだ。
後悔のないキャリアチェンジを果たすには、非公開求人の裏側や企業の裏事情に精通した転職エージェントを巧みに活用することが鍵となる。また、第三者の視点を持つキャリアコンサルタントに相談し、自らの市場価値と退職金を含めた総報酬(トータルリワード)の条件交渉を行うことが、損をしない転職を成功させる鉄則だ。
今の職場のリスクを点検し将来の備えを始めるアクション
まずは、自社の就業規則や賃金規程を今一度手元に取り寄せ、退職金に関する条項がどう記載されているかを確認することから始めよう。制度の有無だけでなく、支給要件や算出方法まで細かく点検することが欠かせない。
もし会社に退職金制度が存在しないと判明したとしても、絶望する必要はない。今すぐ新NISAやiDeCoの口座を開設して積立を始めるか、より待遇の良い環境を求めて行動を開始するか、選択肢は常に自分の手の中にある。将来の不安を確信に変えるのは、今この瞬間の一歩だ。 (出典: 退職 金 ない 会社(Yahoo!ニュース))