「まいうー」の石塚英彦が明かす露出激減の理由とグルメ界への復帰劇
石塚 英彦——その名前を聞けば、誰もが即座に底抜けの笑顔と「まいうー!」という威勢の良い声を思い浮かべるはずだ。黄色いオーバーオールをトレードマークに、全国各地の絶品グルメを心底美味しそうに頬張る姿。かつてのテレビ界において、彼は単なるタレントを超えた「美味しさの伝道師」であり、茶の間に平和な食卓の光景を届ける第一人者だった。
だが近年、地上波のキー局を見渡すと、あの巨体が画面を飾る機会はめっきり減っていた。一時期は毎日のように番組へ引っぱりだこだった巨星が、なぜ地上波の露出を減らしたのか。メディア業界の構造的な変化が激しさを増す中で、石塚 英彦がどのような思いでカメラの前に立ち続け、そしてどこへ向かおうとしていたのか。そこには一人の表現者としての譲れないこだわりが隠されていた。
メディア出演激減の裏側:「まいうー」ブームの終焉とテレビ業界の構造変化

テレビ局が制作費の削減に追われ、スタジオ中心の低予算な雑談番組へシフトし始めた2010年代後半、グルメリポートの現場にも大きな変化が押し寄せた。かつてのようにじっくりと店舗の味や店主のこだわりを取材し、タレントが心から感動を伝えるスタイルの食レポは激減。代わって増えたのは、短時間でテンポよく店を回る企画や、過激な大食い・激辛チャレンジだった。
長年バラエティ番組を牽引してきた制作陣は、視聴者のタイパ(タイムパフォーマンス)志向に対応するため、食の「味わい」よりも「衝撃」や「安さ」を強調する演出を好むようになった。こうした流れは、料理の魅力を温かい言葉と真摯な表情で届けてきたスタイルの表現枠を削り取っていく。過剰な演出や台本通りのコメントを嫌い、目の前の料理と作り手へのリスペクトを最優先する姿勢を貫いた結果、テレビ出演のオファーと自身の美学との間に乖離が生じていったのだ。
「ホンジャマカ」結成から半世紀近く、相方・恵俊彰との現在の距離感

お笑い芸能界におけるキャリアの原点は、所属事務所であるワタナベエンターテインメントで結成したお笑いコンビ「ホンジャマカ」にある。1980年代後半のデビュー以来、ショートコントで頭角を現した二人は、数々のヒット番組を経て一躍トップ芸人の仲間入りを果たした。
やがて、相方の恵俊彰が昼の情報番組でMCとしての確固たる地位を築き上げる一方、石塚は食と旅を中心としたピンでの仕事へと舵を切った。コンビとしての地上波共演は年に数回の特番などに限られるようになったが、不仲説を噂する周囲の声をよそに、二人の信頼関係は揺らいでいない。互いに異なるフィールドで頂点を極めたからこそ保たれる、成熟した大人のディスタンス。解散という選択をとらず、個々の活動を尊重し合うスタイルは、現代のお笑い界における一つの理想形として業界内でも高く評価されている。
『元祖!でぶや』から『映画 怪物くん』まで、愛されキャラを確立した軌跡

石塚のタレントキャリアにおいて決定的な転機となったのが、テレビ東京系で放送された伝説的冠番組『元祖!でぶや』だ。パパイヤ鈴木との名コンビで「肉と炭水化物は裏切らない」を掲げ、大食いと旅を融合させたこの番組は、深夜帯からスタートしてゴールデンタイム進出を果たす大ヒットを記録した。ここで確立された「巨漢キャラ」「食いしん坊」のアイコンは、日本全国に「まいうー」の流行語を定着させることになる。
その愛嬌あるキャラクターと確かな演技力は、バラエティの枠を超えて俳優業でも開花した。人気ドラマを映画化した『映画 怪物くん』では、大きな体躯と素朴な魅力を生かしてフランケン役を見事に演じ切り、幅広い世代の観客から絶賛を浴びた。バラエティの過酷なロケで鍛え上げられた間(ま)の取り方と表情の豊かさは、どんな作品においても強い存在感を放っていた。
YouTubeや配信番組へシフト、お笑い芸能界の第一線で切り拓く新たな道
テレビでの露出が落ち着く一方で、石塚はデジタルプラットフォームへと新たな主戦場を広げていった。公式YouTubeチャンネルを開設すると、テレビの尺(放送時間)や演出の制約から解き放たれた、文字通りの「自由な食レポ」を展開。街の小さな食堂から知る人ぞ知る名店まで、自らの足と舌で確かめた本物の美味を届けるスタイルが、往年のファンだけでなく若年層の心をも掴んでいる。
そこには、編集でカットされることのない純粋な食への愛があふれている。カメラの向きや尺に縛られず、料理人とじっくり言葉を交わしながら一口一口を味わう姿は、ネット時代の新しいグルメリポートのあり方を示している。地上波という巨大な媒体に頼らずとも、自らの表現活動をファンへ直接届けられる時代において、彼は芸人・レポーターとしての価値を自ら再定義してみせたのだった。
2026年、グルメ界への完全復帰と新たな配信番組出演の全貌
そして2026年、元祖食レポ王が再び大きなトレンドの渦中へと躍り出ようとしている。大手グローバル動画配信サービスが主導する大型グルメドキュメンタリー番組へのレギュラー出演が決定し、本格的な「グルメ界復帰」を果たそうとしているのだ。地上波の枠組みを超えた高画質な映像美と潤沢な予算のもと、日本各地の隠れた食文化や職人たちの技術を世界に向けて発信する挑戦が始まる。
今回の新番組では、単なる食レポにとどまらず、料理の歴史的背景や生産者の思いに深く踏み込む本格的な探訪スタイルが採用されている。「ただ食べるだけではなく、食に関わるすべての人々への感謝を伝えたい」と語る彼の言葉通り、アップデートされた「まいうー」が世界中の視聴者を魅了することは間違いない。時代の変化を乗り越え、表現の場を広げた石塚英彦の第二章は、今まさに最高潮を迎えようとしている。 (出典: 石塚 英彦(Yahoo!ニュース))