大相撲の廻しに付く「さがり」の秘密!落ちても反則にならない理由
相撲 廻し さがりとは、土俵の上で激しくぶつかり合う力士の腰元を彩る、あの独特な紐状の飾りのことだ。一見すると単なる装飾のようにも思えるが、そのルーツを探ると、神事に由来する古くからの伝統と、前立腺や急所を隠すという実践的な役割が絡み合っている。土俵に上がる力士たちが締める締め込みの正面に整然と並ぶこの物体には、千年以上続く相撲の歴史が今なお息づいているのだ。
本場所の熱戦を見ていると、激しい組み手の中でこの紐が解け落ちる場面をよく見かける。だが、一般的なスポーツの感覚からすると不思議なことに、相撲 廻し さがりが土俵に落ちても反則負けにはならない。固められた布の質感、奇数で束ねられた本数の意味、そして取れても構わないという特異なルールなど、知れば知るほど観戦の味わいが深まる雑学が満載だ。
大相撲の廻しに付く「さがり」の隠された役割と伝統的な由来

力士が身につける廻しの前部分に挿し込まれているのがさがりだ。そもそもなぜ、このような紐飾りが付けられているのだろうか。歴史を紐解くと、かつて力士たちが締めていた前垂れ(化粧まわし)の名残であるとわかる。江戸時代に実用的な競技として簡略化されていく過程で、前垂れ部分は装飾品としての「化粧まわし」へと進化し、実際の取組では腰布とこの小さな束だけが残された。
単なる名残にとどまらず、神道に由来する日本の伝統芸能および神事としての側面も強く持っている。注連縄(しめなわ)のように神聖な領域を示す境目としての意味合いがあり、土俵という聖なる空間で戦う力士の身を清める象徴でもあった。また、取組中に前腰が剥き出しになるのを防ぐという遮蔽的な役割も担っており、美意識と実用性が融合した独特の文化装置なのだ。
なぜ取れても反則にならないのか?木村庄之助が土俵で見せる洗練された捌き

相撲の規則において、廻し自体が完全に外れてしまう事態は「不浄負け」と呼ばれる反則になり、即座に負けが成立する。しかし、フロントに差し込んであるだけの束に関しては、取組中に落ちても一切のペナルティが発生しない。あくまで装飾的な付属物という扱いだからだ。
土俵上で攻防が繰り広げられる最中、落ちた小物が力士の足に引っかかれば大きなケガにつながる危険がある。ここで見事な立ち回りを見せるのが行司だ。最高峰の行司である木村庄之助をはじめとする行司陣は、両者が組み合って白熱している隙を見逃さず、素早い動作で落ちたものを拾い上げ、土俵の外へと投げ捨てる。その流れるような所作は、まさに職人技と言える光景だ。
固め方の秘密と奇数のこだわり!関取と下位力士を分ける本数の違い

テレビ画面越しに見ると硬そうに見えるあの束だが、実は本場所で関取(十両以上)が使うものは、布糊(ふのり)を使ってカチカチに固められている。しっかりと張りを持たせることで、立ち合いの瞬間に美しく放射状に広がり、力士の立ち姿をより雄々しく際立たせる効果がある。一方で、幕下以下の力士が使用するものは固められておらず、柔らかい紐の束のままだ。ここにも明確な階級の壁が存在している。
さらに興味深いのはその「本数」だ。必ず17本、19本、21本といった「奇数」で仕立てられている。日本古来の陰陽思想において、奇数は「陽」の目起く数字として縁起が良いとされてきたためだ。職人が手作業で1本ずつ丁寧に糊付けし、乾燥させて仕上げる工程は、現代においても一切の手抜きなく継承されている。
『サンクチュアリ -聖域-』のリアルな描写とスポーツドキュメンタリーが語る熱量
近年の相撲ブームを語る上で欠かせないのが、Netflixで世界的な大ヒットを記録したドラマ『サンクチュアリ -聖域-』だ。従来の相撲像を覆す泥臭くリアリティ溢れる描写が話題を呼んだが、作中では力士たちが締める装備の重厚さや、稽古場での緊張感が画面から匂い立つように描かれていた。
同作のような上質なスポーツドキュメンタリータッチの映像作品を通して、海外の視聴者もまた、単なる格闘技ではない大相撲の深遠な美学に魅了された。汗と静寂が交錯する土俵上で、力士が腰に纏う一筋の布端に至るまで綿密な計算と伝統が組み込まれている事実が、世界中のファンの知的好奇心を刺激している。
両国国技館で躍動する照ノ富士春雄と現代の大相撲興行の熱気
聖地・両国国技館に足を運ぶと、テレビ中継では味わえない生の迫力に圧倒される。館内に響き渡る力士たちの衝突音、砂かぶり席にまで伝わる緊張感、そして横綱・照ノ富士春雄が土俵に登壇した際の圧倒的なオーラ。その腰元でピンと張った飾りは、王者の威厳をいっそう引き立てる。
興行としての魅力を年々高めている現代の大相撲興行では、こうした細かな装飾や所作の美しさを直接体感できることが醍醐味となっている。力士が制限時間いっぱいに塩を撒き、腰を落として相手を睨みつける瞬間、腰元で静かに構える装飾一つにも、何世代にもわたって磨き上げられてきた美意識が宿っているのだ。
NHK中継で楽しむ最新の観戦ポイントと日本相撲協会の未来への歩み
日常的に相撲を楽しむファンにとって、高画質なNHKのテレビ中継は欠かせない情報源だ。最新のスローモーションカメラ技術により、激しいぶつかり合いの瞬間に小物が弾け飛ぶ様子や、行司がそれを瞬時に察知して捌くシーンが克明に映し出されるようになった。カメラが捉える一瞬の映像から、観客は競技の裏側にある細やかなルールや立ち回りを観察できる。
組織としての革新を進める日本相撲協会もまた、敷居が高いと思われがちだった伝統の世界をより分かりやすく開かれたものにする取り組みを続けている。古来からのルールや伝統的な理由を知ることで、ただ勝敗を追うだけの観戦から、歴史と技術が交差する奥深いエンターテインメントとしての観戦へと劇的な変化を遂げるはずだ。 (出典: 相撲 廻し さがり(Yahoo!ニュース))